SANGLIERのフランス料理修行

日本のフランス料理のレストランで働いてきたSANGLIERがフランス・アルザス地方のホテルで料理の修業をしてきました。 その体験などを紹介します。

今日は11月の第三木曜日。ボジョレー・ヌーヴォーの解禁日だ。ホテルでもボジョレーの解禁を記念し、2日間は各60人のお客さんが集い、地元の音楽家による演奏や歌や踊りありと中々賑やかな宴となった。それに加え、翌17日はSoirée Italienne à la Petite Pierre!と題して特別メニューを振舞った。

イタリアンムニュ
"Rouelles d'omble chevailer
cuit à basse température et pancetta Risotte au basilie"川ひめますのリゾット添え。

アナイス3ら人
右が料理長のジョン=クロード、真ん中が若手のミッシェルと左が魚のセクションショフ、アナイス。

ダンス
ホテルを切盛りするフィリップの妹アニエス。厨房でダンスを披露。
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クグロフはお菓子なのかパンなのか?

日本では、その形などからお菓子と思っている人が多いのではないだろうか。
Sanglierもアルザスに行くまではそう思っていた。でも今なら自信を持って言える。クグロフとはパンである。

クグロフはアルザスを代表する食べ物で、イースト発酵させたパン生地にスライスしたアーモンドやくるみ、キルシュ風味のレーズンを入れて焼いて作る。

クグロフ
”Kouglof”クグロフ

リンゴパイ
”Strudel aux pommes”シュトルーデル

アルザスでは、朝食も焼いたトーストにバターよりもむしろ、パンガトー(菓子パン)やクグロフにコンフィチュール(ジャム)と朝から甘いパンを好んで食べる。ホテル近くのパン屋さんで、包装紙に包まれていて、周りがお砂糖でコーティングされた平らな山の形をしたお菓子を買ってみた。これは、ドイツ菓子のシュトレンというドイツではクリスマスの定番のお菓子だが、フランス語名は何と言うのか分からない。形は違うが、クグロフの作り方とほぼ同じだ。味はクグロフよりもかなり甘く、舌触りはクグロフのそれと同じで、しっとりというより、パサパサしている。アルザスではお茶菓子として食べられる。これもお菓子というよりは、むしろ甘いパンと思って食べた方が良いかも知れない。アルザス地方やドイツでは、クリスマスを家族だけで静かに過ごす。そのため、長い冬の期間、なるべく日持ちがするように、バターの分量を少なめにしてあるからだ。

シュトレン
シュトレン
 
日本のパン屋さんは、終日営業しているのが当たり前の光景だが、ラ・プティット・ピエールのパン屋は、午前中は、9時から正午までで一旦閉め、再び午後3時から開く。なので、自然に昼の仕事が終わると、すぐにパン屋へ直行するのが習慣となった。
その時間帯になると、常に冷たい北風が吹きつけるなか、パン屋の前には、既に何人かの人が、いまや遅しと開くのを待ちわびているといった状態。確認した訳ではないのだが、昼の作業が長引いてしまい、4時前に駆けつけたときには、すでにお店は閉まっていたりするので、営業するのはほんのわずかな時間なのだろう。

そのせいか、Sanglierの部屋の窓からは、通りをはさんで真向かいに役所、向ってその左隣に薬局があるのだが、週に何度か薬局の前に、それも決まって朝の8時に、ワゴン車でパンを売りに来ている。朝の8時と言っても辺りはまだ夜明け前で真っ暗なのに、いつも同じおばさんがこれもパン袋持参、時間厳守で受け取る光景を目にする。

パン屋ワゴン
左のワゴンはホテルに卸しているシャルキュトリーのワゴン車だが、パン屋さんも同じ場所に停まる。

パン屋に限らず、フランスでは、昼休みに一旦お店を閉めるのは当たり前のことだが、スーパーのように、日用品を売っているお店すら無い、ここラ・プティット・ピエールで、しかも車も持たないSanglierにとって、休日や祝日には、お店が軒並み休んでしまうのには、かなり不自由を感じた。
食料品が買えるお店は、このパン屋さんのパンとお菓子、それにワインやお水などで、あとの一軒はtabacタバコ屋で売られている市販のビスケットやチョコレートくらいのものだ。
例えば、仕事が終わって部屋で一息入れたいとなる。マダム・ヴァルタンは、仕事が終わって部屋に戻ろうとするSanglierに、決まって「何か飲まないかい?」と、必ず声を掛けてくれ、赤ワインをグラスになみなみと注いでくれる。そう度々だと、何だか申し訳なく思い、ワインを買いだめしておこう!となるが、幸いにもそれはパン屋さんに置いてあって、事なきを得た、と言った具合だ。これがパン屋が閉まっていたら大変である。
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11月11日(日曜日)

今日は、ストラスブールで開催される“Festi Festin2007 Jeunes Resutaurant Euros D’europe”(ヨーロッパの青年レストラン経営者の協会によって催される食品市)に、フィリップのホテルも参加するため、ホテルからはローイックと私の2人が借り出されることになった。

朝の8時にムッシュ・ヴァルタン(フィリップのお父さん)の運転する車でラ・プティット・ピエールを出発。ホテルからストラスブールまでは、高速で1時間。会場でフィリップと軽く打ち合わせをし、作業の説明を受ける。

少し時間があったので、開場前の会場内を散策。出店している数十店のお店はどうやらアルザス地方にあるお店で、白ワインやチーズ、ハーブ、コンフィチュール(ジャム)やストーブ社の鍋を扱うお店、百貨店ギャラリー・ラファイエットのテーブルセッティングコーナーなど盛り沢山だ。

フロマージュ
アルザスのチーズたち。アルザスを代表するチーズに挙げられるのは"Munster”マンステール(ウォッシュタイプ)だが、他の種類も豊富だ。

テーブルセッティング
テーブルセッティングの一例

中でもチョコ作りの職人ショコラティエでもあるミカェル・アズーズさんのお店では、ご本人もみえていて、開場前のひととき、日本語で挨拶を返して下さった。試食したショコラはどれも絶品で、思わずトロリと笑顔になってしまうのが不思議だ。日本でも百貨店に出店したこともある名の知れた職人さんだが、写真撮影の申し出に快く応じてくれた。

今回借り出されたのは、会場内に併設されたレストランで来客に昼食を提供するためだ。数日前に肉担当のクリストフと子羊とソースの仕込みをしたのは、全て今日のメインのものだったということだ。前菜、肉、魚、デセールとフィリップの指示で動く。フィリップはホテルの若オーナーなので、普段は厨房に入ることはなく、この日初めて一緒に仕事をしたことになる。他にホテルからは、スタージュ(研修生)のクロエなどのサービスも何人かが手伝いに来ていて、それと他店からの助っ人で、なんとか無事に昼食を出し終えた。午後からは、なんと言ってもこの日最大のイベントでもある、フィリップによる料理のデモンストレーションだ。

下の料理は、当日フィリップがデモンストレーションをした一品。

ピスターシュ
ピスタチオをコンカッセ(粗く刻む)にする。

アニョー
のろ鹿は表面を軽くロティールし、フィレの部分を適当な大きさに切り分ける。

肉にまぶす
肉に小麦粉、ハチミツの順で衣をつけ、刻んだピスタチオ、くるみ、栗を全体にまぶす。

アニョーの皿
料理名は”Canon de chevreuil aux trois noix,Chartreuse de Châtaigue aux Endives confites Effeuillée de Choux de Bruxelles,Sauce Grand Veneur”
これに、ムッシュ・ヴァルタンのお手製のgelée de groseille(すぐりのジャム)をfoud de gibier(猟肉のフォン)でデグラッセ(ソースを作るため、液体を加える)したソースをかける。

すぐりのジャム
すぐりのジャム。上の料理のソースに使う。

coing
マルメロのジャム”Coing”。ムッシュ・ヴァルタンはジャム作りの名人。彼の作ったジャムは、朝食からオードブルの下味まで大活躍だ。
Sanglierはクエッチ”の実”Quetsh”(すももの一種)のジャムが大好きだ。うまく説明が出来ないが、アルザスを思うとき何故か、この味が思い浮かぶ。

息子の勇姿
左端が料理のデモンストレーションをするフィリップ。右端が息子の雄姿を見つめるムッシュ・ヴァルタン。

テリーヌ
前菜のうさぎとエスカルゴのテリーヌ。

食品市料理
スープや魚料理。

骨付きアニョー
子羊のひざ肉”Souris d’agneau” このページのトップへ
11月1日(木曜日)

ここアルザスの厨房では、前菜と、肉、魚、デセールの4部門に分かれ、各2、3人で担当する。前菜を任されているのは主にローイックで、肉はクリストフ、魚はジョン=クロード、デセールはフレディが担当。ジョン=クロードを筆頭に、この30代から60代の男性4人が中核スタッフを務める。それにスタージュ(研修生)が1人か2人補助する形で、厨房は通常12人体制での作業となる。

スタッフは皆、この田舎町にはるばるやって来た日本人を珍しがったり、冷静を装ったりと、それぞれ違ったリアクションで迎えてくれた。皆に共通しているのは、こちらがいざヤル気や興味を示せば、とことん懇切丁寧に教えてくれるということだ。

Sanglierは、前菜のローイックの補助につくことになった。彼以外のスタッフはアルザスの地元民だが、ローイックだけはフランス北西部のトゥール出身。フランス料理用語辞典を持参すると、ローイックは次に取りかかる作業の要点をあらかじめ辞書に付箋で示してくれる。

その時教わった作り方や料理を、中休みにノートに絵を描いて残すということをした。Sanglierはフランス料理を学ぶより先に、料理人としての仕事するためこの地に来たつもりだ。観光客のように、仕事中に写真をむやみに撮ることは避けようと心に決めていた。

ガンバス写真
ある日の前菜”salade tiede champignon cautillantde gambas”
地中海産の大型のエビをpâte à brickパータブリック(フランス風の春巻きの皮のようなもの)で包んで揚げたものに、ジロール茸を添えたサラダ。

ガンバス絵
中休みに絵にしたもの。

カモの胸肉写真
鴨の胸肉ソテー。

カモとフォアグラ絵
このように絵にすることで、いざ料理を皿に盛り付ける際のgarniture(ガルニチュール。料理の付け合せ)を覚える。

ALLUMETTES
"ALLUMETTES AU FROMAGE"
チーズパイの一種。sauce Mornayモルネー・ソースをpâte feuilltéeフィユタージュ生地で包み焼く。


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10月31日(水曜日)

アルザスの白ワイン(vin blanc)

Sanglierはフランスに来る前からアルザスのワイン街道を訪ねたいと思っていた。今年の街道巡りのツアーが間もなく終了すると聞き、急きょ休みをもらって参加した。

この時期、アルザスのワイン畑を巡るのは季節はずれとのこと。確かに、ワイン畑一帯は一部の木を除き、ほとんどがすでに収穫を終え、来シーズンに向けてこれからの厳しい冬に備えているかの様に、しんと静まり返っていた。

この日は、前日までとは打って変わって、どんどん気温が下がり、凍てつく様な寒さに。うっかり薄着姿の自分と、日も暮れてきて、いよいよ淋しくなってきた辺り一面に広がるワイン畑を前に、こちらまで身も心も寒々とした気分になっていった。

このツアーで訪ねたWettolsheimという町の蔵で白ワインを、厨房のスタッフへのお土産にした。

白ワイン
アルザスの白ワイン

白ワイン2
ゲヴュルツトラミネール

このワインは「口に含むとキリリと冷たく、辛口で酸味が豊かで、全体的にしっかりしている」とスタッフには好評だった。好みは分かれるところだが、残念ながらSanglierはもっぱら赤ワイン党。辛いなかに甘さが散らばる様に感じてしまうアルザスワインはちょっと苦手だ。

だが、「ビターショコラがあったら更に最高」とのスタッフの声を聞き、やっとワインの甘さが理解できた。地元民が「我らが白ワイン」を誇らしげに語ることに納得させられた。

リースリング
リースリング
リースリング
リースリング

ゲヴェルツルトラミネール
ピノ・グリ

maison rouge
フランス人ガイドに教えてもらったコルマールの”MAISON ROUGE”地元の人に人気の店。メニューはポタージュとシェーヴル山羊のチーズのサラダ、ワインはピノ・ノワール。お薦めのタルトフランベにたどりつく前にお腹がいっぱいになってしまい、涙をのんでキャンセルに。 このページのトップへ

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SANGLIER
  • Author: SANGLIER
  • フランス語も勉強中です。

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