前に、実際に入ったフランスの日本料理店の感想を書きましたが、7月、とうとうパリの和食店200軒余りを格付けしたガイドがフランスで発売になったそうだ。
星の数ではなく、イチョウの葉っぱで格付けし、最高は四つイチョウとか。パリは特にこうした和食のニーズがあるにも関わらず、和食を教える職人がいないというのは何とも残念な気がする。
確かに、元々中華料理人が見様見真似ですしを握っている姿は板についているとは程遠い姿だったし、これでは、食べているパリっ子も作っている職人さんの双方が気の毒になってしまうのは、何も私たち日本人だけではなかったらしい。
彼らの作るパリっ子好みの和食と、日本人が慣れ親しんだ和食の味が全く違っていたとしても、それがパリっ子に受け容れられているのなら、それはそれで、納得せざるを得ないけれど。いずれにせよ、何と言っても美食の都、パリっ子の舌が、真の和食の味を見極める日もそう遠くないと期待したい。
12月31日に出された前菜、生エビのカルパッチョ。エビの上にデコレションされた、シソとカイワレの葉っぱ。
厨房で働いていて、忘れられないエピソードがある。
12月31日は、レストランでも特別メニューになる。
このような特別メニューは、オーナーのフィリップによって企画される。普段の厨房では、登場しないような日本の食材なども特注された。
目の前にあるのは、日本で見かけるカイワレ大根とシソの葉そのものなのだが、自尊心の強いフランス人のこと、厨房の料理人たちは、それを日本のものとは認めたがらず「シゾー、シゾー」と間違った発音をしていたので、何度となく正しても認めようとはしない。それでは、フランス語でciseaux(=ハサミ)になってしまうと、思わず突っ込みを入れたいところだが、更に驚いたことに、カイワレ大根の先の緑色の葉っぱの部分だけをチョキチョキとハサミで切り落とし、前菜のエビのカルパッチョの上にパラパラと飾りつけたかと思うと、葉っぱから下の茎はそのまま、ゴミ箱にポイっとしてしまったのだ。それには、さすがに開口してしまった。アルザスの小さな村まで、日本の味が受け容れられる日は、遠いようだ・・・。


